目標のデメリットを知る。
やあ、久しぶりだね。今日は子供が一緒じゃないか、どうしたんだい?
「久しぶり。再来週に保育園で運動会があるんだ。そのために縄跳びの練習さ」
へええ、お父さんって感じだね。もう跳べるようになったのかい?
「いや、まださ。まだまだ体も小さいからね、目標5回で練習中さ」
ふ〜ん、目標5回ね。モチベーションが下がらないようにきちんと手に届くレベルの目標にするんだぜ。
あと達成までのプロセス。これがほんとに大事だからきちんと用意するんだ。目標ばかりに執着してるとやる気が無くなっちゃうからね。
目標のデメリットを理解した上で子供の練習に付き合ってやるんだぜ。
じゃ、またな。
「おいおい、最後まで説明していけよな。目標のデメリットってやつはなんなんだい?」
君の子供はいいのかい。まあ手短にね。デメリットは四つさ。
❶勝っても負けても目標は一緒。
❷目標達成は一時的な変化に過ぎない。
❸目標は幸せを制限する。
❹目標は長期的な進歩と相性が悪い。
さて、ひとつずつな。
❶勝っても負けても目標は一緒。
縄跳びなんて誰と競争するもんでもないけどさ。運動会の演目の一つってんなら、他の子も一緒にやるんだろ。
当然似たような目標を立てて練習してる子もいるわけさ。でも、運動会で跳べる子もいりゃ、うまく跳べない子もでてくるよな。
何が言いたいかっていうとさ、同じ目標を立てたとしても成功する人もいれば、失敗する人もいるってことさ。
そこを分けるのはなんだと思う?仕組みとか、プロセスと呼ばれるものさ。高い目標立てて成功すりゃ世話ないんだけどね。
目標だけ立てて満足してる人には、なかなかに勝利の女神は微笑まないもんさ。
スポーツ選手のインタビューで目標を話してる場面をよく見るけどさ。早い頃から高い目標を立てれば、どうにかなると勘違いしないようにしないとな。
❷目標達成は一時的な変化に過ぎない。
例えば、家に友達が来るとかでさ、部屋をきれいにする!と目標を立てたとするだろ。
当然きれいになるわけさ。汚い部屋に入れたくはないもんな、散らかったものは大きな箱にでも詰めて、押し入れにポイ。あとは掃除機かけりゃ一応はきれいになる。
ただ、根本的な対処じゃないから対症療法にしかなってない。だから、2、3日もすりゃまたいつもの汚い部屋に逆戻りさ。
また友達でも来ない限り、きれいにしようとも思えない。やる気とかモチベーションってやつに頼りがちになってしまう。
帰ってきたら部屋の掃除をするとか、大きいものから片付けるとか、高い場所から掃除を始める、とか掃除のプロセスってやつをしっかり作っておくのが根っこの問題を解消するには最適なのさ。
❸目標は幸せを制限する。
縄跳びの話に戻るよ。何日も何日も練習してもなかなか5回跳べるようにならない。どんな気持ちだろうね。
営業目標を達成できない営業マンでもいいさ。もしかしたら気が気じゃないかもしれない。
君の子供なんて真面目だから、お父さんの期待に応えられないと考えているかもしれない。少なくともあんまり楽しい気持ちではないんじゃないかな。
君の子供が浮かない顔をしていたら要注意さ。
努力ってやつは、興味や関心が高まって夢中になれるからこそできるもんでもある。
幸せな気持ち、楽しい気持ちそんな気持ちを目標は制限してしまう。だからこそプロセスってやつと一緒に決めてやることが大事なんだ。
結果が出ないことに憂鬱になるんじゃなくて、プロセス通りにできていることに満足できるようにね。
❹目標は長期的な進歩と相性が悪い。
目標ってのはさ。いわばゴールじゃないか。ここに達したら終わる。終われるからこそ、必死こいて頑張れる。最後の一滴まで力を振り絞ることができるんじゃないか、と思うわけさ。
頑張り尽くした後の話はよく聞くだろ?
燃え尽きたり、以前の状態より悪くなったりする。
ヨーヨー現象というらしいけどね。チャンピオンになってやりきっとことで引退する、ダイエットでリバウンドするなんてよく聞く話だろ。
生き方は人それぞれだからとやかくいうもんではないけれど、例えば、チャンピオンであり続けることが難しいってのは、僕にとっては共感できる話さ。
プロセスってのはここでも効いてくる。人生は長いんだ。ゴールテープを切って終わるもんより、走り続けることの方が多い。
だとしたらさ、どっちも大事であることに変わりはないけれど、プロセスってやつを大事にすることができる。これは僕にとってとても価値あることだと思うよ。
物事に笑顔で取り組むには、プロセスが大切。
とまあ、こんなところさ。
目標を下げるつもりで言ってるんじゃないぜ。目標には方向を定める力があるんだからね。
目標至上主義にならない。目標と同等かそれ以上に大事なもんがある。そういうことをいいたいのさ。
さて、目標のことがわかったところで、目の前の目標ってやつと上手に付き合ってみようぜ。それにはプロセスを大事にしようってことだがやる価値は十分あると思うよ。
なにせ、君の子供が笑顔で楽しく取り組めるんだからね。
君はその笑顔に色々もらっているんだろ。
「そうだね、全くもってそのとおりだよ」