活かす力

自分を活かすということ。ひとつのことに集中しない若者とシングルタスク。

自分が活きる環境づくり。最初にはじめる頭の整理。

自分が活きる環境に身を置く。
がんばりやすいと思える環境をつくる。

そんなことをまじめに考えたことはあるかい?

「突然どうしたんだい?」

ずっと前だけどね。「つらい状況でもがんばれてこそホンモノ」そんなふうに考えていた時があったのさ。

ずいぶん自分に優しくないし、なんだか遠回りをしていたなぁ、と思い返していてね。

どんなにスゴいやつか証明するより、スゴいことをやってのけることの方がよっぽど大切なのにさ。

「たしかにね。証明しただけじゃなにも産み出していないものね」

そう。だからこそ『つらい状況に身を置くより、自分ががんばりやすいと思える場所にいるほうが大事』なんだ。

「もちろん同感だけど自分ががんばりやすい環境ってどうやってつくったらいいんだろうね?」

そうだね。まずは自分の頭の中の環境から変えたらいいんじゃないかな。

「あたま?」

そう頭。脳。

「脳?」

そう。「のう」

自分のすみずみにまで、あれしろこれしろって命令するところさ。自分のことを一番いろいろ考えてくれてるところ。

「なんで、脳なんだい?」

だってさ、口を動かすにしろ、手足を動かすにしろ、どんな場所で闘うにせよ、指揮官がおバカだったら戦いは負けちゃうだろ。

どんなに、ボールの扱いがうまくて、足が早くて、応援してくれる人がたくさんいるサッカーチームでも、監督が頼りなかったら試合には苦戦するだろ。

だから、指揮官、監督、脳にいい環境で働いてくれることが大切で、そいつらの環境づくりが最初にしなきゃいけないことさ。

・スゴいやつと証明するのではなく、スゴいことをやることが大切。
・つらい状況に身を置くより、がんばりやすいと思える場所にいることが大事。
・指揮官である脳の環境づくりを最初にする。

なんで、頭の整理をするの?

「人生とは、一つのことをうまくやるか、二つのことを下手にやるかだ」これは名もなきお父さんが息子に伝えた言葉だよ。

名言だけど、有名じゃない。でも、

これが今の環境を踏まえて生きていく上で、環境づくりの教訓にすべき言葉だと思うね。

ひとの脳は、二つ以上のことを同時に意識することができない

・・というのが神経科学者さん達の回答さ。

二つ以上のことに意識を向けようとしたらさ。脳の中の「ぜんとうぜんや(前頭前野)」ってやつの取り合いが始まるそうだよ。

そして、あっちにこっちに意識が振り回されるから、その度集中力がなくなる。そうすると当然いい結果もでない。

・ひとの脳は、二つ以上のことを同時に意識することができない
・二つ以上のことをすると前頭前野の取り合いが始まる。
・二つ以上のことをすると生産性が低下する。

生産性が下がる、ひと・もの・情報に埋もれる世界。

今の世の中ってさ。

大昔と違って「てくのろじー」が大きく進んでいるじゃないか。技術っていうのかな。

自分を取り巻く、ひと、もの、情報がたくさん、かんたんに手に入るようになった。

メールや電話、チャット、SNSでたくさんのひととすぐ連絡できるようになった。

インターネットがあるから情報もたくさん、しかもかんたんすぐに手に入るようになった。

昔よりも裕福でたくさんのものに囲まれて暮らせるようになった。

今は大昔よりも、とにかくたくさんのひと・もの・情報に意識を向けることが多くなった。

だから、昔の人と較べてね。

二つ以上のことを下手にやる機会」に恵まれているんだよ。

つまり、前頭前野の取り合いさ。

運動神経抜群のゼンヤさんでも、あっちこっちの部活に助っ人に行ってりゃ、さすがに集中力もパフォーマンスも落ちるのさ。

なにより、同時に二つの試合には出られないしね。

ちなみにハーバード大学の研究によると、仕事をしてると一日500回は意識を向ける(注意を払う)機会があるそうだよ。

「数えるだけでも大変だね」

そうして、意識を向けた回数が少ない方が、仕事がはかどるそうさ。おもしろいというかやっぱりという話だよね。

脳は集中が途切れた後、もう一度集中するのに20分以上かかるとも言われている。そりゃいい仕事ができるわけがない。

当人的には「気が散っている」状態というやつさ。

それにしても、脳は二つ以上のことに同時に意識を向けることができないというけれど、意外とみんなそれに気づいていないのさ。

脳のしくみを理解しないで、

「なーに、大丈夫。一緒にできるよ」

と思っている人がとても多い。意識を切り替えるのに必要な時間は、0.1秒らしいからね。

まばたきするくらいの短さだから、一緒にできるって誤解するらしいよ。神経科学者のオフィルって博士は「タスクをスイッチしているだけ」と言っているそうだよ。

まあ、かくいう僕も「タスクスイッチ」していたひとりさ。
仕事している時なんて、ほんとにいろんなことを一緒にできている気分になっていたものだね。

そうして夜帰る頃になって、意外と仕事が終わっていないことに気づくんだ。

でも、その理由が『二つ以上のことを同時にやろう』としていたからだとは思ってもいないし、脳の仕組みだなんて知りもしない。

・ひと、もの、情報がたくさん、かんたんに手に入る環境。
・意識を向けた回数が少ない方が、仕事がはかどる(生産性が高い)
・もう一度集中するのに20分以上かかる。

自分が活きる環境を自分の中につくる。

だからね。まずは自分を取り巻く環境を理解する。そして、

意識をひとつに集中する。
やることを一つに絞る。
前頭前野の取り合いをさせない。

そんなことをすることが大切なのさ。
こういうことを「シングルタスク」にするって言ったりする。

自分の脳、指揮官、監督、リーダー、社長、なんでもいい。
人生がかかっているんだぜ。

まず、ここの環境からどうにかしないと、

生活の質、
ひととの関係、
自分にとって大切なことぜんぶ

に影響がでるんだよ。

だからね。自分を活かすためのはじめの一歩は、
今自分が何を考えているのか意識すること。
そうして、ひとつのことに集中すること。

ここから始まるのさ。

それが『自分が活きる環境を作る』ってことに繋がるんだよ。

・自分と取り巻く環境を理解することが大事。
・意識をひとつに集中し、行動をひとつに絞ることが大切。
・自分にとって大切なこと全てに悪影響がでる。