知る力

「あの人みたいになりたい」が致命的にダメな2つの理由

誰もが理想のあの人になりたいと思う

時折、あの人みたいになりたい、そう思う時が私にはあります。たとえば、仕事の時など・・

「なんであいつだけ評価が高いんだ」
「なんであの人はあんなに上司に気に入られるんだろ」

などと考えて、

「あいつみたいになりたいな」

と心の中で思うわけです。

あなたはそういう経験はあるでしょうか。

今日のお話は、いうなれば「あの人みたいになりたい病」を克服するためのお話しです。

あの人みたいになりたいな、と思ったところでそれは茨の道で、自分らしさを追求した方が良いことを理解することがこの話のゴールです。

自分らしさを追求することで、

相手が気にならなくなります。
回り道しながら成長することがなくなります。
自分のしたいことを追求できるようになります。

よければ最後までお付き合いください。

相手のことは、思った以上にわからない

話は変わりますが私は過去に以前の部下に、よしやすさんみたいになりたいと言われたことがあります。

とても光栄なことですよね。これはとても嬉しいことです。でも、それを言われた心の中ではこうも思っています。

「やめとけ、お前にはお前の良さがある」

逆の立場だと止める立場になる、なんとも不思議な話ですが、これを言う理由は理屈ではわかります。

「君は、私の表面しか見ていない」

これに尽きます。いくら同じフロアで仕事をする仲間だとは言っても、直接会話するのは日に10分もありません。

1日のたった0.3%です。

ソシャゲの最高レアを当てる確率よりも尚低いです。

最高レアのピックアップキャラをピンポイントで1回目に当てる確率と同じくらい・・・いや、共感されなさそうなのでこの辺でやめておきましょう。

つまりはそれくらい関わりが少ないということです。私の方針、判断、行動には、常に触れ合うことになるにしてもそれは私の内面から表層に出た結果の一部です。

これだけで「私になりたい」というのはさすがに難しいと言いたくなるものです。

実際に、こんな確率論で話はしませんが、感覚的にはこういうことです。もちろん逆もまたそうです。私も彼の内面を完全にのぞいて理解することは難しい。

だから、もしかしたら私みたいになれるのかもしれません。

おやっ!?いけるかもしれないじゃん!と思ったそこのあなた。言いたいことはそういうことではありません。

ここで言いたいことは、なれるなれないの可能性の話ではなくて、相手になりたいと思うには、相手のことを知らなさすぎるんだよ、ということです。

なので、夢を持つなとか、理想の人を作るな、とかそういうことを言いたいわけではありません。自由に持ってください。

ただ、なりたいと思うにあたっては、本当になれるかどうか妥当性を語るには情報が圧倒的に足りない、そういうネガティブな要素は知っておいてもいいだろう、ということです。

これを無視して、「〇〇さんになりたい」というのは、ソシャゲのガチャと同じレベルの運試しをするようなものです。

個性はそれぞれ。みんな違ってみんないい

さて、仮に100%時間を共有しているとします。

その上で「あの人みたいになりたい」と思ったならば、あの人になれるのでしょうか?

答えは、極めて難しい、となります。

進化心理学者のダニエル・ネトルさんによれば、人には生来変わらない5つのパーソナリティ次元があるということです。

パーソナリティとは直訳する「人格」という意味ですが、ここでは「個性」と言いかえて話を進めます。

(「人格」は後天的に形成されるものという意味合いが強く、ここでのパーソナリティとは、他者と比較した際の先天的な特徴という意味合いで用いられているため)

たとえば、こんなものです。

外交的な人は羨ましい」
「随分神経質な人だなぁ」
誠実な人柄だ」
「誰とでも調和できる安心感のある人だ」
「想像力あふれる開放的な思考をする人」

どうでしょう。周りにもこういった人がいるのではないでしょうか。

人にはこのように表現されるいろんな特徴があるものですが、ダニエル・ネトルさんによれば個性は5つに収束されるそうです。

  • 外向性
  • 神経質傾向
  • 誠実性
  • 調和性
  • 開放性

この5つの次元の組み合わせ(「次元」というのは「広がり」といった意味。ここでは個性の多様さといった意味合いになります。)が個人にはあります。

加えて、それは一生を通じて安定して見られる傾向だということが研究により分かっており、これらは、「ビッグファイブ理論」として知られています。

つまり、人の個性というのは生まれ持ったものであり、なりたいと思うあの人においそれと変化できるものではないということです。

似たような実績を上げることはできるでしょう。
同じ地位に立つこともできるでしょう。
幸せな家庭を築くこともできるでしょう。
同じ車に乗ることもできるでしょう。

でも、人としての本質、つまり個性は違う。ここは認識しておくべきところでしょう。

内向的なのに無理して外交的に振る舞う。
本質は楽天的なのに必要以上にリスク回避的になる。
瞬発力が取り柄なのに、熟考に熟考を重ねようとする。

自分らしさと真逆に走ることは、精神的にも辛いものです。

もし、なりたいあの人が自分と真逆の個性を持っていたらどうでしょうか?

個性が、一生を通じて安定して見られるのだとしたら、「〇〇さんみたいになりたい」というのはなかなかに苦しい道を選択していることになります。

もしもそれでも目指すというのであれば、それはその人らしさやその人の個性、を真似るべきではありません。

出力された結果や実績、評価に着目し、自分らしさ、自分の個性を最大限に活かす戦略をとることが、目標に辿り着く最善の方法となるでしょう。

故に「あの人になりたい」と思う以前に、まずは自分を知る、これこそ大切なことだといえます。

さて、結論を・・という前に自分の個性を知ってみてはいかがでしょう。

ビッグファイブ理論で自分を知る


ダニエル・ネトル著「パーソナリティを科学する」では、かんたんな12の設問で、自分の個性を診断することができます。

ニューカッスル・パーソナリティ評定尺度表を用いて、自分自身の5つ個性を知ることができます。

この方法は簡易版ですが、自分をより良く活かすために、試してみてはいかがでしょうか。

4つの手順、5分ほどで診断できます。

手順❶
下記の質問に、「きわめて当てはまる」から「きわめて当てはまらない」の5段階で自己採点をします。

手順❷
質問の回答ごとに下記の表の得点を当てはめます。
パーソナリティ次元ごとに得点を計算する。

  • 外向性   質問1+6
  • 神経質傾向 質問5+10
  • 誠実性   質問4+9
  • 調和性   質問2+7+12
  • 開放性   質問3+8+11

❹以下の表に当てはめ、自分の個性を判断する。

さて、どのような結果になったでしょうか?

それぞれのパーソナリティに良し悪しはありません。時と場合により、強みとなる場合もあれば、弱みとなる場合もあります。

それぞれの特徴については、過去の拙文を参考になさってください。文体が全然違うのもお楽しみください(笑

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いかに自分を理解し、より良く活きる場所に自らを置くことができるか。

結局のところ、自分らしさを最大限発揮すること。

それが結果的に・・

  • 相手が気にならなくなる
  • 回り道しながら成長することがなくなる
  • 自分のしたいことを追求できるようになる

ということに繋がるというわけです。

さて、「あの人みたいになりたい病」を克服することはできるでしょうか。多少なりともあなたの考えを変化させることができたなら幸いです。

まとめ

今日のおはなしのまとめ
  • あの人になりたいと思わない。自分らしさこそが自分を成長させる。
  • なりたいあの人のことについて大抵の場合ほとんど知らない。
  • なりたい人を作るなではなく、相手の事を知らなさすぎることを理解せよ。
  • 人には、生来変わらない個性(パーソナリティ次元)がある。
  • 個性(パーソナリティ次元)は一生を通じて安定してみられる傾向がある。
  • あの人になりたいということは自分の個性と反する選択をする可能性がある。
  • あの人になりたいのであれば、個性ではなく相手の結果、実績、評価に着目し、自分らしさを最大限活かす戦略をとるべき。
  • そのためには、自分を知るということがなにより大切。