学ぶ力

成功談を鵜呑みにしない。失敗に目を向けることで得られる答え。

成功談は適度に疑う。

成功者が教える、失敗しない副業で稼ぐ方法7選かい。ほうほう、なるほどね。君はなかなかおもしろいものを読んでいるね。

「そうだろ、やっぱり成功してる人の話は参考になるね、これでうまくいってるってんだから真似しない手はないさ」

僕がおもしろいっていったのは、ほんとに失敗しないなんてことはあるのかなって疑問を感じたところさ。

「まあ、事実書いてるんだから間違いないんじゃないか?」

そうだね。まあ、全部間違いってことはないけど意外とそうでもないもんなのさ。

必ず成功するとか、失敗しないとか、成功法則とかそんなもんは疑ってかかるくらいでちょうどいいと思っているからね。

「どういうことだい?」

どうでもいい記憶は忘れるもの。

そうだね、そもそも記憶ってのは曖昧なもんなんだ。
物事の最も良かったことや、結末には意識が向くけどそれ以外はからっきし。ピークエンドの法則っていったりするけどね。

なんでもかんでも記憶してたら頭がパンクするからね、わかるさ。重要だと判断したことが記憶として残る。無駄なことはしない、まあ合理的さ。

だからね、成功要因なんてものを記憶から紡ぎ出そうとしても、全て記憶してるわけじゃないからなかなかうまくいかないのさ。

死人は語らない。見えないものに答えはある。

もうひとつはもっと大切かもしれない。「死人は語らない」ってやつさ。

「なんだい、それは?」

いわゆる生存バイアスってやつだけど、こんな話を聞いたことはあるかな。

第二次世界大戦中の話さ、当時のアメリカ空軍のパイロットってのは生存率50%、出撃すれば半数は死んでいたらしい。

怖い話だね。そんな訳で「既死兵」とも呼ばれていたそうさ。

いつまでもこれじゃまずいと思うのは普通だろ。死ぬ確率は減らしたい。幸いなことに、飛行データはたくさんあった。

そうしてたくさんのデータを確認してみたら、翼と胴体は機銃で穴だらけ。コクピットと尾翼には損傷がないことがわかった。それはデータが増えれば増えるほど顕著だった。

さて、君だったらどうする?

「そりゃ、翼と胴体の強化じゃないか?」

ま、そう思うのが普通だよな。やっぱり翼と胴体を装甲で強化しよう、そういう話になりかけたのさ。

ところがね、それは違うと言った人がいるのさ。
君だって、こんな話をしてるんだからきっと違うだろうなってのはわかるだろ。

さあ、正解だね。

正解はコクピットと尾翼の強化だったんだ。ヒントは帰ってこれなかった飛行機にあったのさ。

「どういうことだい?」

それはね、飛行機は翼や胴体ばかりが狙われていたわけではなかったってことさ。

どういうことかわかったかな。

つまりさ、コクピットと尾翼を撃たれた飛行機は残らず撃墜され帰ってくることができなかったってことさ。本当に対処すべきはコクピットと尾翼だったのさ。

まさに死人に口なしってやつだ。帰ってこれなかった飛行機にこそ答えはあったんだ。おもしろいだろ?

だからさ、成功だけで失敗を語らない話ってのはどうにも胡散臭さを感じてしまうんだ。

誰だって無闇に失敗談は語らないだろうしね。正しい判断に必要な材料が集められているのかなって思う訳さ。おかしいかな?

「いや、おかしくはないさ」

失敗を見ることで得られる三つの学び。

まあ、ひねくれた考えかもしれないけど、間違っているとも思えない。そういうわけで、ここで得られる学びは三つさ。

記憶ってのは得てして不完全なものなんだってこと。
人は見たいもの、見えるものだけに目が行きがちだってこと。

そうして、成功だけじゃなく、失敗にも目を向けろってことだね。

誰だって成功したいものさ。だからこそ一歩引いてみる、それが大事なのかもしれないね。

さて、もう一回その記事を見てみようじゃないか。建設的な失敗談やデータに妥当性があるか見てみようぜ。

僕の疑いを吹き飛ばす、人生に糧になる情報だと最高だね。